WORKS

Hotel D

Tokyo, JAPAN

2018

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用途:

旅館・共同住宅・店舗

構造:

鉄筋コンクリート造

規模:

地上9階、地下0階建て

敷地面積:

70.02㎡

延べ面積:

421.78㎡

竣工:

2018年6月

設計監理:

佐野健太建築設計事務所

担当:佐野 健太

構造設計:

オーク構造設計事務所

担当:新谷眞人、藤本貴之

設備設計:

建築エネルギー研究所

担当:迫博司、河村衣里子

照明設計:

岡安泉照明設計事務所

担当:岡安泉

家具設計(1Fカウンター):

藤森泰司アトリエ

担当:藤森泰司、石井翔

サイン計画:

佐野健太建築設計事務所

担当:佐野健太、田修銓

施工(建築):

建匠社

施工(GRC):

旭硝子ビルウォール

施工(サイン):

フロムトゥー

 

都心の幹線通り沿いに建つホテルである。

約9.5m×7.5mの狭小地に地上9階建てのRC造を計画した。

いわゆるペンシルビルと呼ばれる建物形状や建設コストを鑑みれば、鉄骨造という選択が最も一般的だということができる。

しかし、交通量の非常に多い前面道路からの騒音や振動は、居住空間としてのホテルにとってけっして無視できない負の要因であり、これらのトレードオフのなかで、最終的には施主の後押しもあり、RC壁式ラーメン構造を採用した。

平面計画は、避難動線とエレベータを必要最小面積とし、残りをツインルームに割り当てるという極めてシンプルなものである。2つの長方形を互いににずらし、できた余白がそれぞれエレベータホールとバルコニーとなっている。

客室間の界壁はとくに高い遮音性能が求められるため、コンクリートでつくることは理に適っている。この界壁と外壁すべてが構造に寄与するような壁式構造が同等規模の宿泊施設には合理的だと判断した。柱梁のほとんどが壁や床に隠蔽されるこの形式は、梁の真下で寝ることを極端に嫌う風水的思想とも相性が良く、インバウンド客をメインターゲットとする運営方針と合致したことも追い風となっている。

西側大通りに面するファサードにはGRC(ガラス繊維強化コンクリート)製のブリーズソレイユ(日よけ庇)を設け、商業施設としての構えをつくるとともに、西日や騒音を軽減する機能を期待している。全体として格子にみえるブリーズソレイユは、実際には216のL字型ユニットから構成されており、奥行き方向の深さは5種類。上階にいくほどせいが大きくなり、寸法としては120種類のユニットが存在していることになる。そして、これらのバリエーションによってスパイラルを描くグラフィカルなパターンを産みだしているのである。

ただし、120種類もの型枠を製作するのは当然不経済であり、ここでは繰返し打設可能な鋼製型枠を用い、堰板の位置を変えることで寸法を調整する方法を採用している。そのことによって、製作する型枠をたった1種類のみに限定することに成功し、プレキャストであることのメリットを最大限に活かしている。

また、各ユニットには間接照明用の断面があらかじめ組み込まれており、夜間にはGRCの平滑な表面を反射板とした照明器具としても機能する。

 

 

 

©Kenta SANO & Associates, Architects